新型コロナウイルスが留まることを知らず増大するなか、ついに他人事と言ってはいられない現実が、わが身や家族に迫ってきました。
私が勤めている職場は精神科の病院です。
そこでついに恐れていた事態が発生してしまいました。
今月15日に早番勤務(7時~16時)で出勤すると、事務長などがすでに出勤していました。深刻そうな顔をしている事務長に「どうしたのかな」、「何かあったのかな」と思い、病棟で同僚に話をすると「昨日(14日)、コロナの感染者が出た」と。
私は休みだったので知らなかった。
入院患者3名の新型コロナウイルス感染が確認されたとのこと。
そして、15日に保健所が病院に入って感染状況の検査がなされました。
4病棟あるうちの一つ3西病棟で発生し、感染者が発生した3階の病棟の入院患者、職員は休みの人も全員呼び出されて検査を受けました。
4階病棟は今回の検査対象外だったようで、私も含め検査を受けていません。
検査の結果、入院患者6名の感染が確認され、幸いに職員は感染していませんでした。
この日は、新型コロナウイルスで病院全体がいつも以上に慌ただしく動き、医療廃棄物の保管・管理を任されていた私(看護補助)も忙し1日となりました。
感染防止対策委員会の看護師から、医療廃棄物の保管容器(段ボール箱)を40個程至急調達して欲しいと言われ、医療廃棄物の回収業者に連絡・調整し忙しい1日となった。
業者が医療廃棄物の回収に来るのは、毎週月曜と木曜の2回のみで次の月曜日までまだ3日もあり、現在保管している数では間に合わない状況。
普段であれば医療廃棄物は、1週間に段ボール箱(90Ⅼ)2つが出る程度ですが、年末からの新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大の状況を見て、感染防止委員会の依頼により、もしもの場合に備えて業者に20箱を11日に持ってきてもらっていたのですが(使わないで済むことを願っていたのですが)、15日の午前中ですでに6箱がコロナに汚染された医療廃棄物で一杯になってしまいました。
午後2時ころになり回収業者の社長さんから電話があり事情を聞かれ、コロナ感染者が発生し医療廃棄物保管の箱が足らない、至急持ってきてもらえないか尋ねると、「わかりました、いまから私が持っていきます」と言って、段ボール箱40個と90ℓのビニール袋、梱包用クラフトテープを持ってきてくれました。
夕方になり師長から集合がかかり、新型コロナウイルスのの発生に伴い、今後の病院の動きの説明があり、新型コロナウイルスの感染者が出た病棟の職員(約30名)は全員が出勤停止(感染者はいないが)となり、感染者を含め約50名いる入院患者の看護ができない、病院としての機能が停止してしまう状況に陥ってしまいました。
そこで病院がとった対策は、まだ感染者が出ていない残りの3つの各病棟から5名(看護師4名、補助者1名)を急遽引き抜き、専属でこの病棟の看護業務にあたらせました。
当然引き抜かれた病棟は、引き抜かれた人の穴を埋める業務量が増大し、休みも返上、勤務スケジュールも大幅に見直しという状況に。
もっと大変なのは引き抜かれた人たち。
自分たちも感染というリスクを背負いながら、感染を拡大させないより大変で重大な業務にあたらなければならない。
昨日業務の中で顔を合わせたが、いつもなら笑顔を見せてくれる人なのだが笑顔も出ない疲れ切っている様子で、淡々と業務について話をして戻って行きました。
感染者6名は、病院内に隔離治療できる空き病室はないので、隣にある病院の体育館に移し隔離治療しています。
17日(日曜)時点で患者や職員に新たな感染者は出ていませんが、他の病棟などからも新たな感染者が続出した場合 はどうなってしまうのだろうか。
病院として機能しなくなってしまう恐れがある。
まさに医療崩壊という現実が目の前に迫っています。
認知症など心の病を負った人たちが多く入院している精神科の病院、長期入院の人が多く患者同士家族や友達同然の生活をしている、日中はデイルームに集まりテレビを見たり談笑をしている。
こんな中で感染者が出ればアッという間に病棟全体に広がってしまう 。
長期入院で、高齢者の私よりもさらに高齢で糖尿病などの病気を患っている方もたくさんいます。
そんなかで感染が拡大したら大変なことになります。
感染が拡大せずに終息することを願うのみです。
この病院は精神科で患者全員が隔離された閉鎖病棟です。
職員以外、部外者が無断で立ち入りすることはできません。
新型コロナウイルス禍で面会も禁止され、患者の家族も立入ることはできず、タブレットを使用して面会をしており、入院患者が感染することは”0”に近くあり得ないことです。職員が持ち込まない限り。
では、なぜ入院患者が新型コロナウイルスに感染したのか。
患者の中には心の病だけでなく、糖尿病などの他の疾患、骨折などのケガを患っている人もいます。
この人たちは外診といって他の専門病院に診療や治療に行くことがあります。
この過程で感染したことが考えられます。
今は、外来診療は制限され、常勤以外のドクターは病院に来ることはできず、当直医もおらず、夜間や休日は病院の隣に住んでいる院長先生と家族(院長先生の娘夫婦もドクター)だけで対処しているようです。
昨日のニュースでも報道されていましたが、他の病院でも大規模なクラスターが発生し、まさに病院として機能していないような状況が発生しています。
テレビのニュースでも病床の使用率でしか報道しておらず、まだ病床は空いているような報道の仕方をしていますが、実際には病床よりもマンパワー、治療にあたるドクターや看護師が足らず大変な負担がかかっているということです。
もうすでに医療崩壊が始まっているということを、もっと強く報道し新型コロナウイルスの怖さを伝えることが大事と私は思うのですが。
「医療従事者への感謝」という言葉をよく目にし耳にしますが、言葉だけでなくもっと自らの行動で示すべきではないかと感じます。
新型コロナウイルス慣れ(私も含め)してしまったのか、緊急事態が発令されたにも関わらず、自分のことしか考えず安易な行動している人たち、自分の命を大切な家族の命を守るんだということを真剣に考えて行動をしてほしいと、医療従事者の一人として強く感じる次第です。
私が勤務する病院で新型コロナウイルスの感染者が出たことで、医療崩壊という現実が身近に迫ってきているという事実(いやすでに始まっています)を皆様にお伝えしたく投稿しました。
長々と最後まで読んでいただきありがとうございました。
<追記> 2021年1月19日 21:40
ついにさらに恐れていた事態が発生してしまいました。
これ以上の感染者が増えないように願っていたのですが、1月17日に行われたPCR検査でさらに5名の感染者が判明し11名に、1月18日に行われた検査でさらに3名の感染者が判明し19日現在で14名の入院患者さんの感染が確認されました。
職員の感染は確認されていません”0”です。
当病院の外来診療もストップしてしまいました(電話診療のみ)。
まさに医療崩壊といってもいいでしょう。
感染防止対策はとっていたのですが防ぐことができませんでした。
患者様が外診の過程で感染したものと思われます。
このような状況で、病院の中のいたるところにさらに消毒用アルコール、除菌ティッシュが置かれ、さらに感染防止対策が講じられました。
少ない人員の中で、通常の看護業務と更に病棟内の徹底的消毒作業で忙しい1日となり、夕方にはヘトヘトです。
感染者が出た病棟に引き抜かれた人たち(感染者が出た病棟職員約30名は出勤停止となっている)は、食事をする間もないようです。
どうか皆様、コロナ慣れし安易な気持ちで行動せず、これ以上コロナを拡大させないんだと強い気持ちを持って慎重な行動をお願いします。
いつ自分たちも感染するか分からない、その恐怖に怯えながら私たちは、一生懸命に看護の仕事にあったっています。
これ以上の感染者が出ないことを祈るのみです。
<追記> 2021年1月22日 22:00
本日実施したPCR検査で、新たに入院患者12名の新型コロナウイルス感染が確認されたと病院が発表しました。
これで累計感染者は26名となってしまいました。
職員に感染者は出ていません。
感染拡大が止まりません。
私が所属する病棟でも高熱を発する入院患者が数名出て昨日検査をしました。
幸い検査結果は”ー(マイナス)”でしたが、隣の病棟(4階西)に状態の悪化した入院患者が出って、朝から慌ただしく動いています。
疑いがあるということで、その方の病室は”イエローゾーン”に指定され、隣の病棟の私たちはできる限りそちらに行かないよう指示が出されました。
しかし、その病室の前の保管庫には要介助者の私服、入浴用のタオルや洗顔用のタオルなどが保管されているため、午後になりそれらを病棟の方へ移動と今日も忙しい1日でした。
早く感染拡大が止まり、平穏な毎日が戻ってくることを願っています。