命をつないでいたソメイヨシノ!!
2019年10月に日本列島を襲った台風19号は、全国各地に甚大な被害をもたらし、日本列島に大きな爪痕を残しっていきました。
私の住む町も例外なく大きな被害を受けました。
私たち市民の憩いの場である、市内の中心街を流れる黒川の河川敷緑地公園も濁流に襲われ、跡形もなく破壊されました。
そこの堤に植えられていた桜「ソメイヨシノ」は、毎年きれいな花を咲かせ私たちの心を癒してくれていましたが、この時の濁流に飲み込まれ流されてしまい、無残な姿を破壊された公園に横たえていました。
その死んでしまったと思われる桜が、翌年2020年の春4月になんと見事に花を咲かせたのです。
(地元新聞で報道紹介されましたが、新型コロナウイルスの猛威に書き消されてしまいました。)
そのことに私も含め多くの市民が驚き、その逞しさ生命力の強さに感動しました。
そして私だけに限らず、多くの市民がこの桜をもとの場所に埋め戻し、命をつなげてほしいと思いました。
が、しかしこの願いもむなしく、公園の復旧工事に伴い撤去されることになりました。
年が明け3月に公園の復旧工事が始まり、「ふれあい堤」に生き残った桜が綺麗な花を咲かせ、私たちの心を癒してくれていましたが、濁流に流され無残な姿で横たわる桜(この時の写真に写っています)は、枯死したと思われ花をつける様子はありませんでした。
そして4月になり私たち市民をびっくりさせる事態が起きました。
そうです、この死んでしまったと思われる2本の桜「ソメイヨシノ」が、なんと綺麗な花を咲かせたのです。
しかし3月から始まった被害復旧工事の「護岸工事」に伴い撤去されてしまいました。
それから1年、護岸工事も終わり公園全体の復旧工事が始まり、憩いの場が徐々に戻りつつあります。
そして今年も桜の季節が訪れ、桜の開花情報が聞かれるようになりました。
そんな中、3月10日の地元新聞(下野新聞)を読んでいって、また驚きました。
なんとこの桜「ソメイヨシノ」が命をつないでいました。
この桜の命をつないでいてくれた市民がいたのです。
そのことがこの日の下野新聞の記事になっていました。
この方は、元高校教諭のTさん。
Tさんは、この桜の「移植」を市に要望したそうです。
しかし、復旧工事のためやむなく廃棄されてしまいました。
そして、Tさんの挑戦『挿し木で再生を試みる』が始まりました。
倒れたこの桜から小枝8本を採集、水苔を少し混ぜた細粒の鹿沼土を入れた鉢に挿し、湿気を保ったり、元気のない小枝を間引いたりと世話をし初根を待ったそうです。
そして9月、ついに2本の挿し木の初根を確認「再起の黒川桜」と命名し、農園を経営する教え子から管理についてアドバイスを受け液肥を散布、12月以降は凍結を防ぐため夜間は屋内で一生懸命世話をしたそうです。
そのかいあって、今年1月に黄緑の芽吹きらしい膨らみを確認。
身を寄せ合うように付いたつぼみは大きく膨らみ、3月6日に1輪が開花、9日には1本の挿し木は5輪咲き、つぼみは16個、もう1本も15個のつぼみをつけているそうです。
現在の「再起の黒川桜」は小枝ですが、幹に成長したら鹿沼企業人の会(一緒に移植を申し出た)とアドバイスをしてくれた教え子に1本ずつ委ねたいと。
「この桜の親木は黒川の洪水で根もあらわに放置された。しかし翌春、力を絞って花を咲かせ、コロナ禍の市民に勇気と感動を与えた、と伝える役目を果たして欲しい」と、Tさんは思い描いているそうです。(下野新聞より抜粋)
たたかれてもたたかれても、踏みつぶされても踏みつぶされても、負けずに逞しく生きていく自然の草木や野草、野花、その生命力の強さに感動させられました。
命をつないでくれたTさんに感謝です。
そして、「再起の黒川桜」が大きく成長し、後世の人たちに勇気と感動を与えてくれることを願っています。